ス ズ メ バ チ 対 策
夏から秋にかけて農林作業や野外活動の際、スズメバチに突然遭遇し刺される被害が発生しております。
スズメバチの習性を理解のうえ行動し、被害防止に努めるとともに、刺された場合は速やかに適切な処置を講じて下さい。
- 1 スズメバチの攻撃
- スズメバチ類は外敵に対して巣を守る防衛本能が発達しているため、人などが巣へ接近すると次のような「警戒」から「攻撃」に至る4段階の行動をとることが知られています。
- 偵察蜂による警戒
- 巣の数メートル〜10メートル以内に近寄ると、侵入者の周囲を飛び回って警戒する。
- この距離で大声を出した場合、巣の表面に多数の蜂が出てきて警戒体制に入る。
- 偵察蜂による威嚇
- 更に近付くと、侵入者にまとわりつくように周囲を飛び回り、大顎を噛み合わせて「カチカチ」という威嚇音を発する。
- 巣への間接的刺激に対する攻撃
- 威嚇を無視したり、巣のある枝や土中の巣の近くを通ったりして巣を振動させると、偵察蜂が空中に噴霧したフェロモンだけでなく、興奮した働き蜂によって巣の中に散布された警報フェロモンに反応して集団で侵入者を攻撃する。
- 巣への直接的刺激・破壊に対する攻撃
- 巣への直接刺激や破壊により興奮した蜂は一斉に巣を飛び出し、威嚇行動なしにいきなり刺す。
- 興奮が激しいときには、多数のハチの攻撃に加え、噛み付いたまま何度も刺すため重症となることが多い。侵入者を執拗に追いかけ、その距離は数10メートルに達する場合もあり、最も危険な段階である。
- オオスズメバチでは、「A」からすぐに「C」の段階へ移行することが多い。
働き蜂が多い(巣が大きい)場合には、巣を刺激しなくても現場から離れないと「D」の段階に達し、極めて危険な状態となる。
- オオスズメバチは、樹液をなめているようなときでも興奮すると単独で攻撃してくる。
- 毒液が眼に入ると激痛を起こし、更に毒液の量が多いと角膜剥離による失明の危険性がある。
- 2 スズメバチに遭遇した際の注意事項
- 夏から秋にかけて農林作業や野外活動を行う際は、スズメバチに突然遭遇する危険性のあることを念頭に置く。
- 緊急事態に備えて、市販殺虫スプレーや抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏を携帯するとよい。
- 軒先など日常活動の範囲にスズメバチの巣があるような場合には、巣の近くで大声を出したり、強い振動を与えたりしないように注意する。
- スズメバチは「黒色」を攻撃する性質があるので、白っぽい服装の方が安全度は高い。
- ヒラヒラするもの、純毛製のもの、香水やヘアスプレー、虫避けの超音波発信機などは、蜂を刺激する原因となる。
- 野外活動中に偵察蜂に遭遇した場合は、頭(黒色)を隠し姿勢を低くして、ゆっくりその場を離れる。
- 蜂の攻撃を受けた場合、手やタオルなどで払うのは危険である。
- 蜂は前後の動きには鈍感であるが、左右や急激な動きには敏感である。
- 3 スズメバチ刺傷後の対応
- 毒液による痛み、腫れ、患部の炎症、痒み、体温の上昇等が、刺傷後10〜15分後に発現しますが、次により対応して下さい。
- 患部からの毒液除去
- 身体に回る毒成分の量を減らすため、できるだけ速やかに毒液を口或いは市販の器具を用いて吸い出す。
- 毒成分の不活性化
- 20%タンニン酸軟膏、3%タンニン酸アルコール、渋柿の汁などを、刺された直後に患部に塗り、後に水洗いする。
(アンモニアの使用は無意味。)
- 治 療
- 患部の腫れや痛みには冷湿布をし、抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏を塗る。
- 重症の場合は、患部を冷やして、迅速に医療機関で手当を受ける。
- アレルギー性症状
- 人によりアレルギー反応の程度は異なりますが、身体各所或いは全身の蕁麻疹、だるさ、息苦しさなどの症状がある時は、次回の刺傷に充分な注意が必要です。